別れでもないのにそういうムードになるのが性(後)

彼と会って早2ヶ月。チャットの量は既に膨大になっていた。
彼に言わせてみれば、今まで知り合った中でもかなり上位のほうになってるという。
1年前から知り合っている人もいるのに、その人よりもログが多いとは…
そうは思っても、さほど驚きはしなかった。
むしろそうだろうな、だなんて自惚れたような考えすらあったものだ。
これだけ話していたらログの量が膨大になることぐらい容易に想像がつく。

その日、私は塾へと。彼は部活へとそれぞれ活動に行った。
お互い落ち着いて話したのは夜の10時を回ってから。
自重する前の最後のチャットである。
最後…と言ってもお別れでもなんでもないのだけれどね。
話す内容は相変わらず変わらないところもまた物語っている。
勉強やら、今の日本やら、日常あったことやら…
特に意識もせず、本当に自然体で何時も通りキーボードを叩いていた。

11時になった時に、彼が通話しないかと持ちかけてきた。
私の答えはもちろん決まっている。
この頃「Noと言える人になれ。」なんて言葉が流行ってたとか何とかww
そう言われたって、したい場合は言う必要はないよねぇ?

ちょっと前までは話すのもあたふたしていたはずの通話の時間。
今はちゃんと話せるようになった。これも少しは進歩した証だよね?
でも、やっぱりドキドキすることには反応してしまうというか…
今回も今回で、やっぱり例外ではなかったみたい。
例外と言うか、ここが一番最後という言葉を感じさせてしまったところかもしれない。




「このまま、好きになってていいの?」

「自分がしたいようにすればいいじゃん。」

(本当は、好きになっててほしい。)


「音信不通になったら激怒だからねww」

「それはないから安心してよw」

(その痛みを、少しぐらい分かってあげてると思うから。)


「このまま連絡切られたら、一生人間不信だなぁ…って言っとけば安心w?」

「そうかもしんないねw」

(言われなくたって、切りたくないよ。)


「…好きだよ。」

「…愛してる。」

(思いは確かに通じ合っているんだよね?)


「こんな気持ちになったのは初めてかもしんない…」

「…本当に?」

(本当の感動って、こういうことを言うのかな。)




名のつけられない複雑な感情に、私は知らずのうちに涙を流していた。
嗚咽にも近いその声を聞いて、彼は何故か笑っていた。



「そうやって、泣くほど考えてくれるのが嬉しいんだ。」



再び涙腺が緩む感じがして、慌ててこらえようとする。
乾いた頬に伝う涙をもはや止める術を私は持ち合わせてはいなかった。
静かに舞い落ちる仄かな暖かさに彼を感じたいと思った。
いつかは、この手で受け止める日が来るように。
だから…今だけは…いいよね?

時間を忘れる通話だけど、いつまでも続けているわけにもいかない。
時はしっかりと同じペースで歩み、明日は必ずやってくる。
名残惜しさを全面に押し出しながらも、通話は日を跨いだ1時に終わった。



「また話せる機会はいくらでもあるはずだから、また話そうね!」

「うん、約束だよ。」



―月日はいよいよ、4月へと移り変わっていった。


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